入間ハート病院入間ハート病院

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糖尿病の治療~新型コロナウイルス感染症に負けないために~
  • 2020年05月21日

今年4月から入間ハート病院で診療しています糖尿病専門医の橋本佳明と申します。よろしくお願いいたします。
現在、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナと略します)が流行して、運動量が少なくなり、血糖コントロールが悪化しておられるかたが少なくないと思います。糖尿病があるとコロナにかかりやすいのかどうか、コロナにかかりにくくする方法があるのかどうかなど、糖尿病とコロナとの関係についてこれからご説明いたします。

糖尿病があるとコロナにかかりやすいのでしょうか?

以前から糖尿病があると肺炎にかかりやすいことが知られていました。コロナに関しても感染しやすいこと、また感染すると重症化しやすいことが報告されています。

糖尿病でも感染しやすい人と感染しにくい人がいるのでしょうか?

血糖コントロールを良好に保つと感染しにくいと考えられています。

血糖コントロールを良好に保つ方法は?

以下の1~4が重要です。

  • 食事療法
  • 運動療法
  • タバコを吸わない
  • 糖尿病治療薬を適切に調整する(患者さん自身が調整するのではなく、医師が行います)

食事療法のコツは?

  • 適切なカロリーの食事をしましょう。
    • >運動量が少なくなると必要なカロリーも少なくなります。
       間食が多くならないように注意しましょう。
  • 食事の内容について考えましょう。
    • >血糖を上げる食べ物は糖質です。
    • >糖質の多い食べ物は、ご飯、パン、麺類、お菓子、甘い飲み物などです。
    • これらを少し控えることも大切です。例えば、お昼に麺類を召上るかたは、麺を少なくして、少なくした分、サラダや、たんぱく質の多い肉、魚、卵、ソーセージなどを摂るようにするとよいですね。
  • 食事の“食べる順番”について考えましょう。
    • >サラダ、肉(魚)、ご飯を食べる場合、まずサラダ、そして肉(魚)、最後にご飯を食べると、食後の血糖の上昇が抑えられます。
  • 一日の食事の回数は朝食を抜いて2回でもよいのでしょうか?
    • >朝食を抜くと、昼食後の血糖が上昇しやすくなります。
    • >規則正しい生活をして、一日3回食事をとりましょう。

運動療法のコツは?

外出自粛され、運動不足におちいっているかたが少なくないと思います。
血糖コントロールを良好に保ち感染予防するために、体を動かす時間を増やすことが重要です。それではどのように体を動かせばよいのでしょうか?

  • 健康維持のために、屋外で散歩をすることは、許可されています。
    • *人の少ない場所で、周りの人との距離を2m以上保ちながら散歩しましょう。
    • *元気なかたは少し早く歩く努力をしましょう。
    • *一日のウオーキングを2~3回に分けて行っても効果があります。
    • *できるだけ手で顔に触れないようにしましょう。
    • *他の人が触れる物(例:公園の遊具など)に触れないようにしましょう。
    • *帰宅したらすぐに手を洗ったり、アルコールによる手指消毒をしましょう。
  • 家の中での身体活動も大変重要で、血糖コントロールに効果があります。
    • *掃除やゴミ出しなどもよい運動です。体に良いと思って積極的に行いましょう。
    • *ながら(例えばテレビをみながら)で良いので、ストレッチや体操をしましょう。
    • *長時間の座りすぎに注意しましょう。
      >30分座ると5分間体を動かすようにしましょう。
      >立つだけでも効果があります。

禁煙するためのコツは?

  • 禁煙しようとする強い決心が必要です。
  • 喫煙と関係があるもの(タバコ、灰皿、ライターなど)は捨ててしまいましょう。
  • タバコを吸いたくなった時の対処法を考えておきましょう。
    • >例:深呼吸する 水やお茶を飲む チューインガムをかむ 歯をみがく など
  • 禁煙補助剤(飲み薬や貼り薬)を使用すると禁煙しやすくなります。
    • >当院には禁煙外来があります。ご利用ください。

喫煙によりどのような健康障害が生じるのでしょうか?

  • 喫煙者はコロナに感染しやすく、感染するとタバコを吸っていないかたより重症化しやすいことがわかってきました。
  • 喫煙により糖尿病発症リスクは1.5~2倍なります。また失明や腎障害などの合併症が発症しやすくなります。
  • 喫煙によりがん発症リスクは、男性では2倍になります。肺癌や喉頭がんの発症リスクは5倍になります。
  • 喫煙により心筋梗塞発症リスクは、男性では3.6倍、女性では2.9倍になります。
  • 喫煙により脳梗塞発症リスクは、男性では2.2倍、女性では3.9倍になります。
  • 喫煙者の15~20%が慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎や肺気腫)を発症します。重症化すると酸素を吸いながらでないと生活ができなくなります。

糖尿病治療薬を適切に調整することは重要なのでしょうか?

  • *重要ですが薬患者さん自身で調整してはいけません。医師に相談しましょう。
  • *食事・運動療法を頑張れば、薬を減量することができます。減量しないと低血糖になるかもしれません。
  • *反対に血糖コントロールが悪化すれば、内服薬を増やす必要があります。一時的にインスリン注射をしたほうが良い場合もあります。
  • *HbA1cの目標値につきましては、糖尿病学会から提案されていますので、参考にしてください。

■一般的なHbA1c目標値

■高齢者のHbA1c目標値